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85. sm5728253 2009年01月02日 08 33 投稿 魔理沙とアリスとパチュリーと小悪魔で百合のお勉強 マイリストコメント: 思いの分だけ、おもい~☆ 第二期、4回目のランクイン☆ 投稿者コメント: パチェ『ああぁん・・・はぁん・・あ、あん』 こぁ「とゆう初夢を見たのですよ」 パチェ「何であえいでいるの!?」 こぁ「お着替えを手伝ってる最中ですね」 パチェ「?」 こぁ「ムラムラして、こう(わきわき)」 パチェ「・・・・・・」 こぁ「そろそろ着替えます?」 パチェ「いやー!!」 という恋のアバンチュール☆ タグロック:ゲーム・作者は健常者シリーズ・東方(カテゴリ)・東方超級者向けリンク 魔理沙×アリス と パチュリー と 小悪魔先生 百合のお勉強 ぱちぇ:・・・ぁああん、・・・んぁきゅ、 んっ・・・はん・・・あはぁ・・・ こぁ:むむっ!パチュリー様は まだ寝てるですか~ こぁ:・・・・・・・・・・・・ こぁ:パチュリー様~♪ お~きて~ま~す~か~? こぁ:ね~て、ま~す、ね~? こぁ:・・・・・・オッケーということですね~? ぱちぇ:・・・・はふぅ~ん、ふひゃぁ~ うう~ん・・・あっ・・・あん・・・・・・ ぱちぇ:・・・・・・魔理沙ぁ・・・やん、 そこじゃない・・・・・・あっ、ん・・・ そこ~・・・そこに入れてぇ・・・ ※作者注:魔理沙が本棚に 本を戻している夢です☆ こぁ: ふむ・・・目が覚める気配無しか・・・ こぁ:では、魅惑のイタズラタイム ゲット レディーゴーですね☆ こぁ:起きるまでがゲームです! こぁ:1秒経過ごとに、1cmずつ脱げてくぞ ゲーム☆ Game Start こぁ:グフフフフ☆ズーリズーリっと 0 cm脱ぎ☆ こぁ:ローブって、丈が長いから 楽しみが長☆時☆間 こぁ:え~、お気付きの方も おられるとは存じますが~ こぁ:魅惑のデルタフォース到達時刻は 一分後です☆ こぁ:あ!手がすべった! ぐへへへ、ワープ☆ こぁ:ぬ?アレ?? こぁ:くっ!ヒザか! こぁ:くそ!なめるな! 貴様如きに、我が野望が防げられるか! (ぐい!ぐい!) こぁ:(きゅぽん☆) こぁ:フーフーフー、しょ、勝利~ こぁ:え~もう少しで到達なので、 ここでアンケート こぁ:白?黒?赤?しましま? こぁ:私は、無色透明だと信じてます☆ (うひゃひゃひゃ) こぁ:みなさん、カウントダウンです こぁ:ゴー こぁ:ヨン こぁ:サン こぁ:ニー ぱちぇ:あみゅあぁぁぁぁ こぁ:あー、おはよう・・・ こぁ:う、う、う、う、 何でおいしい所で目が覚めるのですか~ こぁ:パチュリー様には 「エロス」というものが 理解出来ないのですか~? ぱちぇ:魔理沙に抱き付かれたら、 「え?もしかして私に気がある? キャッ☆ど~しよ~☆ ラブラブモード?」 ぱちぇ:って思うことはあるけど こぁ:パチュリー様、それは 「エロス」ではなく「恋」です ぱちぇ:つまり今の私は 「恋する乙女」ということね☆ こぁ: 乙女ロードまっしぐらですね☆ ぱちぇ: 女の子座りで、さらに乙女度アップ☆ (ぺたん☆) こぁ: すばらしい乙女です!パチュリー様! こぁ: もう、他のオカズなんていらない! こぁ:パチュリー様を見ながら、 パンを何枚だって食べれます☆ ぱちぇ:魔理沙は和食派だけど、 パンを食べてくれるかな? こぁ:大丈夫です! こぁ:パンがダメなら、 パチュリー様をお食べ☆ ぱちぇ:え?え? ぱちぇ:わたし、食べられちゃうの? こぁ: そう!まさに食材の無い女体盛り! こぁ:エロス! 閑話休題 魔理沙:よう!パチュリー ぱちぇ:あ!?魔理沙? アリス: おじゃましま~す☆ ぱちぇ:アリスもなの? こぁ:わたしが呼んだのです! ぱちぇ:? 魔理沙: で、用件はなあに?(抱き付き☆) アリス:わ! こぁ:そう! まさにソレですね! こぁ: 魔法使いの方々は、 非常識なのです☆ ぱちぇ:そうかな~? 魔理沙:そんなことないよね~ こぁ:その節操の無い、濃密な コミュニケーションとかですね☆ こぁ:わ、私なんか・・・(ハァハァ)、 直には触れずに・・・(ぐへへ)・・・ 匂いとか・・音とかを・・楽しんでるのに アリス: けど触ったり舐めたりした方が、 お互い気持ちいいじゃない(ペロ☆) ぱちぇ:だよね~☆ こぁ:くっ! ・・・しかし世の中には「じらし」 という高尚な理念があるのです! こぁ: 例えば、この胸のバンソウコウ こぁ: これが無いと、タダのアウト絵ですが、 こぁ: あると剥がす楽しみが生まれます。 こぁ:これが、 かの「天地開元経文」にも書かれている 「バンソウコウ プレイ」です こぁ:漢字で書くと 「比那名居 天子」 魔理沙:つまり人前で、やたらと いちゃついてるのは良くない ということか こぁ: そうです!分かってもらえましたか! こぁ: というわけで、私が先生になって、 常識を教えて差し上げようと 思い立ったわけです! アリス: 面白そうだし、教わってみようか? ぱちぇ:うん、そうね 魔理沙:よし!やってみよー☆ 1時間目 社会 こぁ:では、神社で おみくじを引く時どうしてるか? こぁ:実践して見てください 魔理沙&アリス: わたしたちは、 参拝に来た恋人どうしの役~☆ ぱちぇ:では私が巫女ね☆ 魔理沙:おみくじ下さ~い☆ ぱちぇ:はい、 大吉、中吉、小吉・・・と、 どれを買いますか? ぱちぇ: ・・・・・・一番売れてるのは大吉ですね 魔理沙:どれにしようかな~? アリス:だめよ魔理沙、 そのままでは買えないわ 魔理沙:え? アリス:わたしルール! アリス: おみくじを買う許可証として、 わたしにキスしなければ なりません! アリス:略して、キス占い~☆ ぱちぇ: むむ、鋭いところを突いて来るわね ぱちぇ: 自分ルールは乙女のステータス☆ 魔理沙:うん、じゃあいくよ 魔理沙:ちゅっ☆ アリス: あ☆だめよ~ 魔理沙~☆ アリス: ほっぺのキスは、 ウソキスだよ~ アリス: お口のキスが愛のキスだよ 魔理沙:あはは、ごめんごめん 魔理沙: アリスのほっぺが可愛すぎて、 恋々キスをしちゃったんだ☆ アリス:次はお口に・・・ね☆ 魔理沙:(おくちにKISS☆) アリス:えへへ、恋と愛のキス 両方してもらっちゃった☆ アリス:これぞ恋愛☆ 魔理沙:恋愛キス~☆(抱き付き☆) アリス:キャー☆やだど~しよう☆ こぁ:は~い、そこストップー! 魔理沙&アリス: え?何か、おかしかった? こぁ:はい☆ 一つだけ問題点がありました☆ ぱちぇ:店員とキスしてない! こぁ:そこも重要ですが、もう一つ こぁ: 売店前で長時間、いちゃついてると 順番待ちのお客様に迷惑です。 アリス:あ!そうか! こぁ:前振り省略で、 速攻でキスすればいいんです☆ 魔理沙:なるほど! 「百合は神速を尊ぶ」と言うしな 魔理沙: 流石は紅魔館No.1の常識人☆ こぁ:グフフフフッ☆ それでは実践スタート☆ アリス:魔理沙・・・・・・ 魔理沙:アリス・・・・・・ 魔理沙:ちゅっ! 魔理沙:パチュリー(ペロペロ) ぱちぇ:ハァハァ・・・ 魔理沙:おみくじ下さ~い! ぱちぇ: キスの分だけ、おまけします☆ こぁ:おみくじ購入大成功☆ こぁ: 皆さんも実践で試してみてね☆ 2時間目 英語 こぁ:うp主は英語が超苦手なので、 サッと終わります☆ こぁ:あいさつを御願いします☆ Marisa:Hi! Iam Marisa. チルノ訳:ハイ!魔理沙だぜ☆ Marisa:I would love you☆ and you? チルノ訳:私はお前が好きだー!お前は私を好きかー!? Aice:Yes☆I would love you, too thank you☆ チルノ訳:あなたの匂いを嗅ぐだけで、ハーハーしてしまいます☆はい!どう見ても病気です☆ありがとうございました! Patchouli:The young girl who is right in love☆ こぁ訳:正に百合天国☆ 3時間目 理科 こぁ:お花の育て方です こぁ: 今回は特別講師をお招きしました! こぁ:どうぞー☆ 幽香:ハァーイ、幽香様よ☆ 魔理沙&アリス&パチュリー: 御願いしま~す☆ 幽香:では、百合の華を 「育てて」みましょうか アリス:ふぇ? アリス:え!あっ!やぁ~ん アリス:ツタが絡まってくる~ 幽香: 大丈夫、わたしに身をゆだねて・・・ アリス:ああぁぁぁ・・・・・・ ※作者注: かなり濃い関係に発展しました☆ アリス:いろいろと 育てられちゃった・・・・・・ 幽香:百合の恋心が成長したわ☆ こぁ:・・・・・・百合の花を育てると 言っても、なんか違いますね~ こぁ:ほら~、女の子の花と言えば ・・・・・・ね☆ こぁ:あなたを成長させますか~☆ こぁ:わたしミツバチさ~ん☆ こぁ: お仕事はぁ~花の蜜を吸うこと☆ (チューチュー♪うふふうふふ☆) 幽香:・・・・・・・・・・・・ 幽香:オーケー、把握☆ ちゅど~ん☆ こぁ:うぁ痛タタタタタタッ こぁ:講師の方に 逃げられてしまいましたね~ 魔理沙:アリスという花を育てるなら、 私にも出来るぜ ぱちぇ:私も~☆ アリス:わたし育てられちゃうの? 魔理沙:そうだよアリス☆ 魔理沙:スキあり!(ぺちゃ) アリス:ひゃっ! 魔理沙:アリスを耳攻め~☆ アリス:ひゃーん☆ ぱちぇ:アリス・・・・・・ アリス:ふぇ? ぱちぇ: こちょこちょ攻撃~☆ (こちょこちょ☆) アリス: ひゃふぅ!みゃぁ~・・・やぁん 魔理沙:ね☆ア~リス☆ アリス:魔理沙ぁ~ 魔理沙:ちゅっ☆ (首筋敏感KISS☆) アリス:やぁ、首は弱いの~ こぁ:気持ち良さそうに 寝ちゃってますね~☆ こぁ: 満ち足りた表情が、ス・テ・キ☆ ぱちぇ: つまり愛で満たされたということね こぁ:常識を教え込むには 無理があるのでしょうか? ぱちぇ: 愛は常識で縛られないものよ こぁ:つまり魔法使いというのは、 こぁ: 愛という名の旋律を紡ぎ出す、 神秘の音色なんですね☆ ぱちぇ:ええ、正に 愛の女神の戯れね・・・・・・ The End ← →
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【登録タグ T rlboro 初音ミク 曲】 作詞:rlboro 作曲:rlboro 編曲:rlboro・まーる 唄:初音ミク 曲紹介 「君がそばにいるだけで僕は幸せでした。」 *幸せって言う楽の形* イラストは はねぽち氏 と tikuwadx氏 が手掛ける。 再マスタリングしたものが、コンピCD『Innovator-gaku』に収録されている。 歌詞 ありがとうって 言葉だけの 形のない表の顔 行動にも出せないくらい 天の邪鬼で少し辛い 哀しい事苦しい事 少しあれば人にたよる 喜怒哀楽の激しさは 他の誰にも負けないの それじゃ駄目だなんて 自分じゃわかってはいるけど ahh ahh せめて夢の中だけでいい? 嫌いなモノ全部まとめて捨てよ そしたら君がほら近くなる 嫌いなモノ全部まとめて捨てたら そしたら僕もほら近くなる そしてまた一緒に手と手を繋いで そしたら君もほら近くなる だからまた一緒に約束してね その時までずっと変わらずに 君はどうしたい ぼくは傍にいる 君が傍にいたらそれで 僕は しあわせだ TARARURA* 嫌いなモノ全部まとめて捨てよ そしたら君がほら近くなる 嫌いなモノ全部まとめて捨てたら そしたら僕もほら近くなる RARARURA* だからまた聞いて この想いの詩は いつもいつまででも かわらずに コメント 仕事速くて -- 名無しさん (2010-10-25 19 08 34) ↑すみません、打ちミスです(;ω;) -- 名無しさん (2010-10-25 19 09 52) これすきだ -- 名無しさん (2010-11-04 19 56 19) もっと伸びるべき!めちゃめちゃ好き*^ー^* -- 維月 (2010-11-12 00 49 13) まぢ泣き入る -- ふいいいいいい (2010-11-25 17 42 26) いい曲だ~!! -- 名無しさん (2010-11-29 23 11 54) いい曲♪♪ -- 名無しさん (2010-12-01 00 57 14) 可愛らしくてステキだわ -- 名無しさん (2010-12-30 01 34 20) 初音の声がすごい可愛い。 -- mizuki (2011-01-25 01 46 45) 何で伸びないのか不思議な曲。知らないと損だと思う曲 -- ちょき (2011-11-21 07 47 14) こういう曲好き -- 2000 (2012-01-25 23 16 25) ミクさんの声が可愛い。もちろん曲自体も大好きです。 -- mizuki (2012-02-23 00 55 10) オルゴールから始まるとこが好きです*** すごく可愛らしいですねっ^^ -- 音願 (2012-06-04 22 11 57) もっと有名になれ -- やま (2012-08-30 22 28 03) この歌すごく好きなんだけどTARARURAってどういう意味? -- 名無しさん (2012-09-23 23 49 51) 名前 コメント
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある上琴の未来物語 重なる2人の思い 「なぁ、美琴。話さなきゃいけないことが2つある。」 唐突に話し出すウニ頭の高校生の名は上条当麻。 「なによ急に改まって。」 びっぐりした表情で返事をするの美少女の名は御坂美琴。 この2人は学校終わりに散歩をしていた。 「俺は美琴に隠していることがあるんだ。」 「え・・・。」 上条の意外な告白にびっくりしている御坂。 「まず1つ目。俺は実は記憶喪失だ。」 「2つ目。俺は今・・・、『インデックス』と一緒に暮らしてる。」 「・・・・・・」 御坂は下を向いてしまった。 (ええ、どういうことなの・・・。) 「とにかく色々理由があるんだ。信じてもらえないかも知れないけど聞いてくれ。」 「う、うん。」 ―そしてその女の子のことについて話す。 朝起きたらベランダに引っかかっていたこと。 完全記憶能力のせいで1年に1回記憶を消されていたこと。 完全記憶能力を利用されていたこと。 そしてその少女を救うために自分が記憶喪失になってしまったこと・・・。 話終わり御坂は重い口を開いた。 「なんで今まで言ってくれなかったの?・・・。」 「美琴には余計な心配してほしくなかったんだよ。 インデックスと一緒に住んでるなんて言ったら怒ると思ったし・・・」 「なにいってるの、なんも言わないほうが余計に心配よ。それに怒らないわよ。」 「とにかく今日はちゃんと話さないといけないなと思って美琴を呼んだんだ。」 「そうなの。そっか、初めてだもんな当麻の家。えへへ楽しみ。」 「そうですか。そう言ってもらえると上条さんはうれしいですよ。」 2人は手を繋ぎ上条家へと向かった。 2人は上条家の玄関前まで来ていた。 「ここが俺んちだ。」 「そうなの。」 「じゃあ入るか。」 上条は家を開錠して玄関を入る。 すると家の奥のほうで 「とうまとうま。どこに行ってたの。お腹すいたかも。」 と言う声が聞こえた。 「今から作るぞ、でもその前に話があるんだ。」 と上条は家に上がりながら御坂に向かい手招きする。 「どうした、いいから入れよ。」 「お、お邪魔しま~す。」 と上条の後について家へ入る。 そして進むとリビングがあった。 そこにはインデックスがいて御坂を見たとたんに目つきをかえた。 「短髪、何しに来たの?」 「な、何しにって・・・」 困っている御坂を見て上条が質問に答える。 「インデックス、俺、美琴と付き合ってる。」 上条がそう言ったとたんにインデックスの顔色が変わった。 「つ、付き合うってどういうことなの?説明して欲しいかも。」 「つまり俺の彼女だ。」 するとインデックスの目に涙が溢れだした。 「そ、そっか。とうとうこの日が来ちゃったんだね。・・・ねえ、とうま、とうまは私のことどう思ってる?」 「インデックスは・・・、家族みたいだな。」 「そっか。そうだよね。とうまはそんな風にしか思ってないよね。」 「・・・」 「私はね、ずっととうまのことが好きだったよ。もちろん、恋愛感情で。」 「インデックス・・・」 「でも、私は言えなかった。とうまとの関係が壊れちゃうんじゃないかと思って。」 (昔の私みたいだわ) 御坂は今までのやり取りを聞いて思った。 「なぁ、インデックス。」 「なあにとうま。」 「俺は、お前のことを赤の他人だと思ったことは今までに一度もない。そしてこれからもないぞ。」 「とうま・・・。実はそろそろイギリスに帰らないかって言われてるんだよ。」 「だれに言われたのか?」 「ステイルに言われたんだよ。」 「そうか。インデックスはどうしたいんだ?」 「私はイギリスに帰るんだよ。いつまでもとうまに迷惑は掛けられないかも。」 「わかった。それでいつ帰るんだ?」 「明日なんだよ。」 「「あした~!?」」 上条と御坂は声を上げて驚く。 「なぁ、インデックス。ここはお前の第2の実家みたいなもんだからいつでも帰ってきていんだぞ。」 「わかってる。いつでも戻ってくるんだよ。」 「ねぇあんた、本当にこれでいいの?」 「いいんだよ短髪。ただ・・・」 インデックスは少し間を置いて満面の笑みで 「絶対にとうまを幸せにしてね。」 「当たり前じゃない。これからもよろしく。私は御坂美琴って言う。日本に帰ってきたら私ともあってね。」 「うんわかった。私はインデックス・・・って知ってるか。」 と言い2人は約束の握手を交わした。 ――――――――――――――――――――――――――――― 次の日 2人はインデックスを見送る為に空港へ来ていた。 「本当に遠慮しないでいつでも帰ってきていいんだぞ。」 「うん。みこともこれからも仲良くしてね。」 「うん。当麻が好きどうし。」 「じゃあね。また会いにいくかも~。」 といって空港の保安検査場へ消えていった。 「まさかインデックスがあんなふうに俺のことを考えていたんなんてな。」 「私ちょっと妬いちゃったわよ。」 「ははは。確かにインデックスもすごい大切な存在だけど美琴も大切だぞ。 なんてったって俺の・・・その・・・彼女だからな。」 「・・・・・・」 「美琴?」 「ふ、ふにゃ~」 「ちょっ、空港で漏電はやばいだろう。」 インデックスは帰ってしまったがきっと上条の幸せの日々は続いていくだろう。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある上琴の未来物語
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある子猫な超電磁砲 時刻は朝の八時、上条は昨日『明日になったら風紀委員に受け渡す』と言っていたけども 休日という事もありジックリと睡眠を取っている、昨日は色々な意味で疲れたのだろう。 その睡眠中の人間を見て楽しむ者も居れば、早く起きろと心で願う者も居る。 この様に言葉で表すだけなら実に平和的なのだけれど……。 場所を移して、同じく第七学区の常盤台中学女子寮の一室 平和な朝を迎えた上条の学生寮とは真逆の様子だった……。 「結局、朝になってもお戻りになりませんでしたの。ま、まさか、あの殿方と只ならぬ関係に…!?」 早朝帰りを迎え入れる経験は何度かあったのだけど 朝になっても帰ってこないのは今回が初めて。しかも無断…。 風紀委員の少女は昨晩『寮監』を上手く言い包め (お姉様ったら、どうせあの殿方と戯れているのでしょうね)等と考えていた ――だが朝になっても『お姉様』が戻ってこない。 これは連帯責任だけではなく、常盤台にとっても大きな問題になる恐れがある事。 しかし『お姉様』が一番楽しそうにしているのが『あのバカ(殿方)』に関する話をする時… 何よりも楽しそうに話すので見守るしかないというのが正直な心境だ。 その様子を見て『あの殿方』に好意を寄せている事は嫌という程理解している だからこそ『やめてくださいまし!』と言えば悲しむかもしれない。 結局は今の関係を維持したいが為に口を出せないでいる それが自分にとっても『お姉様』にとっても良い選択であると信じていた。 だけども、この様な事になった以上は嫌でも動かざるをえないのだ。 目的はお姉様を連れ戻すこと、そして『あのバカ(殿方)』とお姉様の関係をハッキリとさせる事。 以上のニ点 そして休日は幸いにも朝の見回りがない 本日の門限までに『お姉様』を寮へ連れて帰れば言い訳する必要もなく、一礼するだけで公に出る前に解決する。 『あのバカ(殿方)』の家くらいなら、花飾りの少女に調べさせれば一発だろう。と考え、寮を飛び出した。 場所を戻して、そんな事になってるとは夢にも思っていないし、 ましてや考えてもない、御坂美琴は……。 (そろそろ、起こそうかしらね…。それにコイツを起こさないとここから出られないワケだし…) 普通の人間なら一跨ぎで浴槽の外に出る事が出来るだろう、しかし今の御坂美琴には無理だ。 ネコ耳に尻尾まで生えてしまってるだけではなく、小さくなってしまっている……。 しかし戻る方法を知っているだけに自分が心を決めちゃえば解決する問題とも言える。 上条は優しい…そう、優しさしかないと言っても良いくらい優しい人間なのである。 助けを求めれば、彼は絶対に応えてくれるだろう だからこそ美琴は怖い、彼は『助けるのに理由は要らない』と言うハズだから……。 「とーま!とーま!!!」 その時、浴室の扉がガタガタ揺れる。小さくなってる美琴からしてみたらちょっとした恐怖だろう。 恐らくは我慢(ご飯)の限界が来て、こうして上条を呼びに来た…と考えるのが妥当。同時に薄暗い浴室に照明が灯る。 「うぉ…眩しい……」 「アンタ、早く起きにゃさいってば」 「アンタ……? 俺っていつ結婚したんだっけ?」 「け、結婚…まだ出来にゃいわよ!あ、後2年くらい…じゃにゃくて、寝ぼけてないでさっさと起きろこらぁ!」 パチッと音が鳴る、強い電撃こそは使えないモノの、人を起床させるには十分すぎる威力と言って良いはず。 「いてっ!? 朝っぱらからなんなんですかぁ!」 「そ、それはコッチのセリフよ!」 「痴話喧嘩…」 「「え」」 浴室の外から何やら耳を疑う言葉が飛んできた…上条は『何でそんな難しい言葉を知ってるんだ…?』という驚き。 美琴は『た、他人から見てそう見えるって事は…』という嬉し恥ずかし…。 「今ので目は覚めたわ…こんな所じゃアレだし、外出るか」 「そ、そうね」 「とーまご飯!」 「わーってるって」 上条は美琴を肩に乗せて、浴室を出る。 その姿を見ると某アニメのDVD特典を思い出してしまうワケだけど、誰も突っ込む人間はいない。 しかし上条が浴室の外に出た瞬間飛んできた言葉は…。 「短髪!何で元に戻ってないの!?」 サラウンドスピーカーもビックリの大音量でインデックスの言葉が家中…いや、絶対に外にまで響いてる。 「ちょっと、とーま! 詳しく説明してもらいたいかも」 「……あ、あのインデックスさん? 何のお話でしょうか…?」 「短髪もこうなったら、一緒に聞くんだよ?分かった?」 「……分かったわよ」 インデックスは先ほどまでのご飯モードから一転、お説教モードに入っている。 ムスッとした表情をし、いかにも不機嫌ですよ…というのを表に出している。 「もうこうなったら言うしかないんだよ、良いね?短髪。 とーまは聞いてればいい」 「な、何でしょうインデックスさん?」 そこに常盤台のエースと呼ばれる人間の風格の欠片もあったものではなかった もはやただの『借りてきた猫』状態、いつものツンツンした雰囲気も抜けている。 「早くキスするんだよ!そうすれば短髪は元に戻れるんだから…ね?」 「…おっしゃってる意味が分かりかねます!!」 「つまりだよ――」 インデックスはスフィンクスを自分の目の前に持ち 「――こうすれば解決」 そうして口元に触れるだけのキスをした。 「ネコ相手になら俺も出来るって…」 「短髪って今ネコでしょ? ね?」 インデックスは確認を取るために美琴に視線を送る。 「ま、まあ…そうね」 「ほら? 短髪もそう言ってるし、何の問題もないんだよ」 「…確かに今はネコかもしれない、でも御坂でもあるんだ。まだ中学生の女の子だぞ? 第一、御坂の方が良しとする訳が―――」 「私は大丈夫、アンタにゃら大丈夫よ」 「…御坂さん?今、なんと…?」 「にゃんども言わせにゃいで欲しいんだけど……アンタとにゃら大丈夫って言ってんのよ!」 「……オマエはそれで本当に良いのか?」 「……アンタじゃにゃきゃダメにゃのよ」 美琴は近距離でも聞き取れるか聞き取れないか…の声で発したが、確実に上条の耳にはその言葉が届いた…。 そして上条は心を決めた……。 そこへ沈黙を切り裂くように呼び鈴が鳴り響く…。実に『悪いタイミングでの来客』とその場にいた全員が心で思った。 しかし悪いのは『タイミング』だけではなかったのだ……。 「ったく…誰だよ、こんな時に」 上条は駆け足で玄関へ向かい、新聞勧誘対策のチェーンをかけ (インデックスが勝手にルールにしている) 玄関のドアを開く…そこに待ち受けていたのは、常盤台の制服を着たツインテールの少女。真剣な表情で上条を見つめる。 「えーっと? 白井さんでしたっけ?」 「ええ、白井黒子と申します。貴方は上条当麻さん…と言いましたっけ?」 「ああ上条当麻だけどって俺の家なんだから、俺が出るのは当たり前だろう!」 「そうですわね、一つ調べたい事がありまして…真っ先にここに訪れましたの」 「そ、それは光栄なお話です」 「あんまり長居するつもりはございません、用件だけを話しますと…我が常盤台のエース、御坂美琴お姉様が行方不明でして 捜索を単独でしているというワケですの。もちろん行方不明という事を知っているのは、この私だけですけどね」 「真っ先にここに来た…って言ったよな?何でだよ」 「それはお姉様が貴方に好意を寄せているという事を理解してたからに決まってるじゃありませんの」 「……御坂が俺に好意を寄せてる? なんだそれ、どこの情報だかわかんねぇぞ」 「やはりそういう事でしたか……」 「どういう事でしょう?」 「いえ、こちらの話しですの。今回ここに来たのはそれ以外の理由はございません、知ってるなら知っている。 知らないならば知らない、それだけをハッキリさせて貰いたいだけですので」 「…知っているって言ったら?」 「もちろんお姉様を返して貰いますわ、もしくは情報を提供して頂く」 「じゃ、知らないって言ったら?」 「この家の中を隅から隅まで捜索して、帰らせて頂きますの」 「どっちにしろ、調べられるって事だな。ま、良い…取り敢えず家に上がれよ」 「知っている…という事でよろしいんですのね?では、上がらさせて貰いますの」 上条は一旦ドアを閉め、チェーンを外した上で白井を招き入れようとしたのだが。 ドアを閉めたと同時に彼女は自分の後ろに立っていた…。空間移動とは恐ろしいものだ。 「早速ですが、お姉様のお姿を見せて頂きたいんですの」 「そこに居るじゃねぇか、ほらテーブルの上」 「……さて? 貴方は何のことをおっしゃっているのでしょうか…?」 「もしかして俺とインデックスにしか見えてないのか?」 「そんなコトないよ、誰にだって見えてるはずなんだよ」 「改めて…そのテーブルの上に居るネコみたいな物体が『御坂美琴』」 「……何でしょう、バカにされてるような気がしますわ…」 「嘘だと思うんなら確かめれば良いだろ? その後にまだ不満やら文句があるならいくらでも聞いてやっから」 黒子はテーブルの上にちょこんと座っている美琴を恐る恐る抱き抱える (お姉様は確かにネコが好きでしたわ、ですが毎回毎回逃げられてばかり…。まさかそれでこの様なお姿に…? いやいや、まだこのネコのような物体がお姉様と決まったワケではありませんの…) 「…おはよ黒子」 「……………どういうことなんでしょうね」 黒子の『お姉様否定論』は一瞬で打ち破られた。 「そういうこった、今はそれが正真正銘『御坂美琴』」 「詳しくお話を聞かせてくれるとありがたいんですの、ここは学園都市…多少の事は受け入れる自信もありますので」 「いやいやいやいや、だいじょーぶよ黒子! 特に大きい問題でもにゃいから!」 「短髪を元の姿に戻す為には―――」 「あ~!!! にゃんでもないのよ黒子、私は元に戻れるから!」 「キ…ッ!?」 「お前の大好きな食パンだ、ほら口の中に詰め込め!もっとあるぞ!」 上条がインデックスの口を文字通り塞いだ、普通の人間にこんな事したら窒息死の恐れがあるのだけど インデックスはそんな概念を全て打ち破る、詰め込んだハズのパンがドンドン飲み込まれていくのだ…。 しかし白井はそれに構わず進める。 「順序というモノがありますので、まずはどうしてお姉様がこの様なお姿になられてるのかを説明して欲しいんですの」 「簡単に説明するとだよ、短髪は何かに対する想いを積み重ねて来てた。という事」 「どういう事ですの? それならわたくしもお姉様に対する想いを積み重ねて来てますのよ」 「「堂々と良いやがるな(言うわね)」」 「あら…随分と仲がよろしいこと、まさか一晩を共にしたとか……お姉様に限ってあるワケありませんわよね?」 「そ、そ、そんな事あるワケにゃいじゃにゃい! 第一、す、好きでもない男と一晩過ごせるワケ…にゃいわよ」 「ほらそこ! 話を聞くのか聞かないのかハッキリして欲しいんだよ」 「まあまあ白井も御坂も落ち着けって、俺も詳しい事は知らねぇ…だからコイツに教えて貰わねぇと」 「コホンっ…続けるよ、まずはその想いが自分の制御出来る範囲を超えた場合どうなると思う?」 「…それは行動に移すでしょうね、わたくしもそうしてますの」 ここで美琴が何か言いたげな表情をしたが、場の空気を読みグッと堪えた。 「普通はそうなるハズ…でも短髪は行動に移せないまま、ずっと想いを溜め込んでたみたいなんだよ。 …こうしてこの現象が起こってる限りは間違いないと思う」 「つまり、お姉様は上条さんに対する想いを制御出来なくなるまで溜め込んでた…とおっしゃいますの?」 「ちょ、にゃ、にゃんでそうにゃるのよ!」 「あら…違うと? それならそれで黒子は構いませんのよ」 「ち、違うとも言ってにゃいわよ…」 「ま、このコンビじゃ両想いとなることはあり得ないでしょうね」 「…ちょっとお二方、何のお話を…?」 「この調子ですしね、黒子に敵は居ませんの」 三人のやり取りを見ながらもインデックスは構わずに続ける。 「でも短髪はその『想い』を心の中で否定し続けた、だからコントロールが出来なくなっちゃったんだと思うよ 後はある程度の『力』の持ち主である事が条件。その『力』と『想い』が暴走した結果がこの状態と言う事なんだよ」 「色々と複雑ですのね…でも先程おっしゃられてた様に、元に戻す方法はあるのでしょう?」 「実例があり証明されている方法が存在するけど…」 「では…早速、お姉様を元に戻して欲しいんですの。タイムリミットは午後の八時まで…それまでにお願いしますの」 「一瞬で済むからそんなに時間は必要ないよ、ただこの二人だから難しいかも…」 「…どういう事ですの?」 「えーっとだよ、つまり…やることをやらないといけないんだよ」 「ヤル事をヤラないとイケない…。な゛な゛…お姉様に何をぉおおおおおおおおおお!!」 「どうして思考がそっちに働くのよ! でもまぁ…うん、そういうんじゃにゃいんだけど、そういうのというか…」 「断じて許しませんの! もうこのままでも…お姉様を連れて帰らせて貰います!」 黒子が空間移動を使おうとした瞬間、上条が黒子の肩を右手でソッと掴んだ …もちろん空間移動出来るワケでもなく。 「くっ…」 「待て白井…そんなに急がなくたって良いんだろ?」 「そうよ黒子、まだお昼前だし門限までまだまだ時間があるじゃにゃい…ねっ?」 「お姉様がそうおっしゃられるなら…でもそのような行為は一切許しません!」 「短髪が元に戻れなくて良いの…?」 「構いませんのよ、この変態猿人類にお姉様を渡すくらいならこのままの方が良いですもの」 「……変態猿人類。さすがの上条さんも傷つきますよ…」 「私はこのままじゃ嫌にゃんだけど…」 「お姉様はこの猿人類とそのような行為をしたいとおっしゃいますの!?」 「……私は別に」 「何ですの、その反応は…? まるで恋する乙女…黒子は許しません、絶対に許しませんの!」 永遠と続きそうな争いを前に、上条は『さっさと決めちまおう』という気持ちで行動に出る。 「後でオマエの言う事は何でも聞いてやる、だから御坂をこっちへ――」 美琴を黒子の手中から、奪う…いや取り返すべく、上条が腕を伸ばす――― しかしそう簡単には行かなかった…黒子は咄嗟に美琴だけを空間移動させたのだ。 「…ッ!? 御坂をどこにやった!」 「後の事は全て任せましたわ。本日の午後八時までに寮の方へ帰してくださればそれで…」 「それってどういう事だ? って白井!」 黒子はその場から空間移動を使い去った…ように上条には見えている。 実際はベランダの影に隠れているのだけど…。 「御坂はどこだ…? おーい!御坂、聞こえてたら返事を…」 「とーま? 本当に気付いてないの…?」 「ん?」 「ここよ、バカ!」 実は黒子が空間移動させた場所は、上条の頭上…普通なら気付くハズなのだが……。 「って頭の上!? オマエいつから…」 「黒子が空間移動させた場所が、アンタの頭の上にゃのよ」 「へ…? それってどういうことでしょう」 「黒子なりに気を使ってくれたんじゃにゃいかしら?」 「んじゃ…オマエを元に戻しますか…俺は覚悟出来てる、後は御坂…オマエだけだ」 「ちょ、いきにゃり過ぎるわよ!! こ、こ、心の準備ってモノがあるでしょうが!」 「その調子じゃ、いつになったら元に戻れるか分かったもんじゃねぇな」 「ア、アンタはにゃにも思わにゃいって言うワケ?」 「……思わないワケないだろ…。もう一回聞くぞ、本当に俺でいいんかよ?」 「アンタじゃにゃきゃダメ…アンタ以外の誰ともこんにゃ事するつもりにゃいんだから!」 (良い雰囲気過ぎてムカつきますの! だけどここはお姉様の為に耐えといた方が利益に……なりますわよね) 「じゃ、行くぞ御坂…」 「…う、うん」 (キィイイイイ!!もう耐えられませんの! 女には負けると分かっていてもドロップキックしなければならない時が…) 「あるんですの!!」 次の瞬間、美琴が宙を浮き、上条が壁に向かって突き刺さるかの如くすっ飛んで行った…。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある子猫な超電磁砲
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある10人のハロウィンパーティ Let s_make_a_pumpkin_pie! 10月末となった土曜日。 明日はいよいよハロウィンパーティ当日だ。 そんな土曜の10時頃に、美琴はとある自販機前に来ていた。 別に蹴りに来たわけではない。とある人物との待ち合わせである。 「アイツいつまで待たせるつもりよ……」 待ち合わせ時間はとっくに過ぎていた。もうちょっとで30分経つ。 イライラし始めた美琴が久々に自販機を蹴ってやろうとか思い始めていた、その時。 「ごめーん。待ったー?」 どこかで聞いたようなセリフが、そのセリフに似合わない男の声で聞こえてきた。 「待ったー? じゃ、ないわよ!!」 電撃炸裂。ふざけたセリフとともに登場した待ち人を、美琴が問答無用で迎撃した。 「うおっ!? あっぶねー……冗談が通じない奴だなぁおい」 「アンタ、それが人を1時間も待たせた人間の言うセリフかしら?」 「いや、そりゃ悪かったけどさ。にしたって電撃は割に合わないって……て待てよ。1時間てお前、約束時間の30分前から待ってたのか?」 「そ、そうだけど……立ち読みしてた漫画が思ったより早く読み終わっちゃったから早く着いただけよ何か文句ある!?」 息継ぎせずに言葉を並べ立てたせいで、少々息が荒くなる美琴。 興奮したせいで、額からは青白い火花が散っている。 「いや文句とかないからその火花をどうかお納め下さい」 迷わずその場で美しい土下座を決める上条。土下座の美しさを競う大会があれば、必ず優勝出来るに違いない。 「ふんっ。最初から素直にそうやってれば良かったのよ、馬鹿」 「申し訳ございませんでした、姫」 「もういいから立ちなさい。ただでさえ時間押してるんだから、早くアンタん家に行くわよ」 情けなく土下座している上条に、美琴が右手を差し伸ばす。 その手を取って立ち上がった上条は、美琴が左手に下げている袋に気付いた。 「それは?」 「ん? あ、これ? エプロンとかレシピとかよ」 「ああ、じゃあ俺が持つよ」 上条は美琴が持っていた袋をヒョイと取り上げる。 「そんなのいいわよ」 「いいって。遅れたお詫びな」 ニカっと笑って歩き出す上条の後を、美琴が慌ててついて行く。 はぐれるわけにはいかない。なぜなら、 (やっと当麻の家に行けるんだ……!!) 今日は美琴が初めて、上条宅を訪れる日なのである。 先週、佐天から一斉送信されたメールにはこう書いてあった。 ★ ★ ★ みなさーんっ いよいよ来週は待ちに待ったハロウィンパーティですね! というわけで、今日は役割分担を発表します☆ 土御門さん&青ピさん クラッカーを人数分お願いします。 他にも面白そうなパーティグッズがあれば是非! 婚后さん&湾内さん&泡浮さん 何でもいいのでお菓子をお願いします。 たとえば、パスティッチェリア・マニカーニとか たとえば、パスティッチェリア・マニカーニとか たとえば、パスティッチェリア・マニカーニとか! 御坂さん&上条さん 手料理担当 白井さん&初春&佐天 手料理担当 初春との独断ですが、ヨロシクお願いしますねw 手料理班はキッチンの広さとスキルの都合上、2つに分けてます。 作るものは相談して決めましょう★ ではではっ ★ ★ ★ それは美琴にとってあまりにも衝撃的内容であった。 読み終わった瞬間は、学区を越えてまでして手に入れた限定ゲコ太マスコットを、思わず握り潰してしまいそうになるくらい。 (あ、アイツと2人でててて手料理!?) しかも、2人が住んでいる寮の関係上、必然的に美琴が上条宅へ赴いて料理することになるわけだ。 その翌日、佐天から電話が掛かり、互いの役割分担の詳細を決めた。 美琴と上条に任された料理は、パーティのメインとも言えるもの。 『私たちは簡単なご飯ものを作るので』 電話の向こうから聞こえる、佐天の明るい声。それが告げたのは、 『御坂さんたちはパンプキンパイを作って下さい♪』 実にハロウィンらしいお菓子の名前だった。 他愛もない会話を交わしていると、程なくして上条の寮へと着いた。 先を行く上条の後を、美琴はドキドキしながらついて歩く。 すると、とあるドアの前で上条が立ち止まった。 「ここが俺の部屋。さっきから言ってる通り、常盤台の寮とじゃ広さの綺麗さの比べ物にならないからな」 「わ、わかってるわよ」 表札にある確かな「上条」という文字。その文字をじーっと見詰める美琴の頬は、みるみる赤くなってゆく。 (いつか私も上条美琴に……) 「おい、何突っ立ってんだ? 早く入れよ」 「ふぇ?」 美琴が我に返れば、上条はすでに中に入っていて、美琴のためにドアを開いている状態であった。 「あ、う、うん」 美琴が入った瞬間、背後でガチャンという音がする。上条が鍵を掛けたのだ。 「っ!!」 緊張で背筋がぞくっとした美琴だが、上条は何も気にすることなく部屋へと上がる。 「ここが洗面所だから。手洗ったら早速始めようぜ」 「わ、わかったわよ。よーし……」 何やら一人意気込んでから、美琴は靴を脱ぐ。 部屋中に満ちる上条の匂いに、頭がくらっとするも同時に安心感を覚えた。 (せ、せっかくのチャンスだもん。料理が出来るってとこ、アピールするべきよね) 脱いだ靴を綺麗に揃えて置き直し、手を洗うために洗面所へと入る。 先に手を洗った上条が、すれ違い様に壁に掛けてあるタオルを指差した。 「あのタオル使えばいいから」 「あ、うん。ありがとう」 しかし、手を洗い終えた美琴はタオルに手を伸ばしたところで固まる。 「……、」 タオルがすでに湿っている。先に上条が使ったのだから当然そうなるわけだが、問題はそこではない。 (アイツ、顔も洗ってた) そう、暑かったのかは知らないが、上条が水で顔を洗ってタオルで拭いていた。ということは、 (これを触れば間接的にアイツの顔を触ったも同じっッッ!?) 恋愛初心者、御坂美琴。 彼女にとってこのハードルは高かった。 「やっと来たか。随分と遅かったな?」 「う、うっさい。女の子には色々とあるのよ」 「ふーん。まぁ、いいけどさ」 結局、1分程固まった後に美琴はキッチンへ現れた。言うまでもなく、顔はリンゴのように赤い。 「お前のエプロン、そこに置いてあるから」 そう言う上条はすでに自分のエプロンを付けていた。シンプルな青いエプロンで、ポケットなどが付いている実用的なタイプだ。 一方、美琴のエプロンは実用的とはいえないデザインだった。可愛さ重視の薄いピンク色のエプロンで、白レースまで付いている。 「へぇ、なんか意外だな」 「どういう意味よ?」 「いや、てっきりカエル柄かと思ってたからさ」 「わ、私だってこういうのも持ってるわよ!」 珍しくカエル柄でないのは、今日を意識しての選択だ。 子供っぽいものが少女趣味になっただけで実際あまり大差はないのだが、美琴にしては大きな進歩と言えるだろう。 「よし。御坂が持ってきてくれたレシピもあるし、早速始めるとしますか」 「材料と器具は揃ってるわよね?」 「ああ。お前のメール見て、指示通りに出しておいたぞ」 得意げにキッチンに並んだ調理器具を見せる上条。 「材料は……」 「卵やバターは冷蔵庫の中。調味料とカボチャはこっち」 レシピを見ながら美琴が最終確認を行う。 「うん、下準備もバッチリ。バターもちゃんと2cm角で切ってくれてるし。さすが自炊してるだけのことあるわね」 「まぁな。でも、菓子作りは初めてだからさ。お手柔らかに頼みます」 「美琴センセーに任せなさいっ♪」 何かすることがあるというのはいい。 料理をするという目的があるおかげで、美琴は先程までのように過剰に上条を意識せず、リラックス出来るようになっていた。 「じゃあ、まずはどうするんだ?」 「水と卵黄を合わせて混ぜて。出来たら冷やしておいてね」 「お前は?」 「薄力粉とバターを混ぜるわ。あ、今からするのは生地作りね」 「おう」 バターが米粒大になるまで美琴が混ぜ終わった後、上条が混ぜた冷水と卵黄を混ぜたものを加えた。 生地を一纏めにするのは、上条が自ら進んで引き受けた。 それをラップフィルムで丁寧に包み込んだ美琴は、冷蔵庫の扉を開けて言う。 「ひとまずこれで終わり。続きは1時間後、生地が冷えてからね」 「へ? もう終わりなのか?」 「冷えてからに型に敷くの。冷えてた方がさっくりとした生地が作れるらしいわよ」 美琴はレシピに書かれたワンポイントアドバイスなる箇所を指差す。 「確かに。でもさ、御坂」 上条はレシピに目を通して首を傾げた。 「こうなるって知ってたなら、生地づくりは俺が昨日の内に終わらておいた方が良かったんじゃないか? このレシピを見る限り、生地を型に敷いた後にも最低1時間冷やすって書いてあるし、出来れば1日冷やした方がいいとも書いてあるぞ」 もっともな上条の疑問。 しかし、美琴は平然と答える。 「いいのよ、これで。この時間はお昼ご飯作るし、次の1時間だって他にすることあるし」 「へ? 昼飯、作ってくれるのか?」 「え、いらないの? 明太子クリームパスタ作るつもりなんだけど……」 そう言って、美琴はエプロンを入れていた袋を指差す。 どうやら中にはパスタの材料も入っていたらしい。 「いや、食べる! でも、次の1時間は? 何するつもりなんだ?」 「そんなの決まってるじゃい」 美琴はさも当然といった様子で答える。 「アンタの宿題を片付けるのよ。どうせ今週もまた大量に出されてるんでしょ?」 「うっ!? なぜそれを御坂さんが知ってるんでせうか!?」 「聞かなくったってわかるわよ。いつものことじゃない」 「うっ……返す言葉がありません」 高校生が中学生に宿題のことを指摘されるとはこれ如何に。 とは言っても、相手は学園都市第3位にして大学レベルの授業を受けている少女。学力の差は明らかだ。 「わかったらエプロン外して、アンタは宿題に取り掛かりなさい。パスタは私1人で作れるから」 「了解であります……」 土曜の昼前より始まった上条と美琴のパンプキンパイ作り。 どうやら今日は美琴センセーの家庭教師dayでもあったようだ。 お昼に食べた美琴お手製の明太子クリームパスタは絶品だった。 本人曰く簡単な料理らしいが、上条が作るそれよりも遥かに美味しかった。 「ごちそうさまでした。いやいや本当に美味かったですよ」 「そう言ってもらえると作りがいあるわ」 喜んで完食してくれた上条に、美琴はにっこりと微笑みかけた。 口周りに少しクリームソースが付いている上条を、とても愛おしく感じる。 「そろそろ1時間経ったし、生地作りに戻りましょうか」 「おっ、もうそんな時間か」 上条は2人分の皿を持って立ち上がると、キッチンへと運ぶ。 「洗うのは俺がするからさ。生地の方頼んでいいか?」 「いいわよ。そっちが終わったら手伝ってね」 「もちろんですよ」 冷蔵庫から取り出した生地を、美琴はパイ皿より一回り大きくなるように麺棒で伸ばす。 その途中で、洗い物を終えた上条が交代した。 「これくらいでいいか?」 「うん、いい感じ」 出来上がった生地を型に敷き込むのは美琴の役目になった。 上条曰く、「不幸な俺がやったら生地が破れるに違いない」ということらしい。 「これでパイの部分は完成か?」 「ううん、まだ」 パイ皿からはみ出た生地をナイフで切り取りながら、美琴が簡潔に答えた。 「本当はこれで完成でもいいんだけどさ。せっかくのハロウィンだし、ちょっと手の込んだことしてみようかなって思うんだけど」 「どうするんだ?」 「ここにある余ってる生地と、そこに置いてある星形の型抜きを使うの」 「この型抜き、お前が持ってきたのか?」 「うん。まぁ、見てなさいって」 美琴の手によって、余っていた生地から次々と可愛らしい星が生まれる。 「ね、卵黄ちょっと用意して」 「卵黄?」 「いいから、早く」 上条が指示通りに卵黄を用意すると、美琴はそれを型に敷いた生地の周囲に塗り始めた。 そして、それを接着剤代わりに、先程作り出した星を貼り付けてゆく。 「出来たっ!」 最後に型ごとラップフィルムをして、美琴は再び生地を冷蔵庫に戻した。 「これでパイ部分は完成よ。最低1時間だけど、長ければ長いほどいいから、アンタの宿題を片付けてから次の作業に移りましょう」 上条の方へと振り返り、にっこりと家庭教師モードへ移行する美琴。 「まずはさっき頑張ってたところ、見てあげるわ」 「是非お願いします、美琴センセー」 この週末、上条が小萌先生から頂戴した宿題(と+αな課題たち)は、美琴の助けをもってしても3時間掛かってしまう多さだった。 ちなみに、美琴1人でならば1時間足らずで片付けられる内容だったが、あくまで上条が理解出来るまで説明した結果が3時間なのだ。 「陽が大分傾いてきたわねー」 「そうだなぁ……って! もう16時前じゃねーか!?」 「まぁまぁ、これで明日も心置きなく騒げるんだからいいじゃない」 にっこりと微笑む美琴が、上条には一瞬マリア様のように見えた。 いやそれどころか、神様の御加護さえ打ち消すという右手を持つ上条にとって、課題という現実的な苦しみに共に立ち向かってくれる美琴は、 実際のマリア様以上に尊い存在と言えるかもしれない。 「さてと。課題も全部片付いたことだし、作業に戻りましょうか。生地も3時間冷やせば十分だしね」 美琴は脱いでいたエプロンを再び身に付けた。 「フィリング作るから、カボチャの種と皮を取り除いてくれる? 終わったらレンジで2分半ね」 「おー、了解」 忘れない内に提出物を学生鞄の中へと入れ、上条も再びエプロンを身に付ける。 2人のパンプキンパイ作りは、今再びスタートした。 上条が裏ごししたかぼちゃに、美琴がサワークリーム、グラニュー糖、シナモンパウダーを順に加える。 「パイ生地出してくれる?」 「おいよっ」 冷蔵庫から冷えたパイ生地を取り出す上条。 滑らかになるまでフィリングを混ぜ合わせていた美琴は、出来上がったそれをパイ生地へと流し込む。 「ね、オーブン予熱してくれたのよね?」 「ああ。180℃だろ?」 「うん。じゃあこれを中に。タイマーは45分ね」 「わかりました美琴センセー」 「い、今はもう先生じゃないわよ馬鹿」 ちょっと頬を赤らめて否定する美琴だが、まんざらでもないようだ。 どのような形であれ、想い人に名前を呼ばれるのは嬉しいらしい。 パイをオーブンに入れた後、2人は調理器具の後片付けを始めた。 しかし、それも5分程で終わってしまい、今日1番の沈黙が2人を包む。 「……、」 「……、」 料理も終わり、課題も終わり、あとはパイの焼き上がりを待つのみ。 することがなくなってしまった今、美琴は例のタオルを目の前にした以来のテンパり具合を見せていた。 (ど、どうしよう……すごく緊張するんだけどっ!?) 一方の上条も、見た目はともかく内心は心臓バクバクである。 (こんなしおらしい御坂、御坂じゃねえ! コイツこんなに可愛かったか!?) いや、それは恋する乙女に失礼じゃないか上条当麻。 現在、美琴は上条と一緒に上条のベッドにもたれ掛かって座っていた。 理由は簡単で、上条の部屋に椅子なるものがないからである。 ちなみに、2人の間は30cmほど空いている。 「ね、ねぇ。テレビ付けてもいいかしら?」 「も、もちろんいいぞ。どうぞお付け下さい。何かいい番組やってるといいな」 少しでもこの空気を変えようと、テレビを付ける2人。 どうやら恋愛ドラマの再放送をしているようだ。しかも、ちょうど山場らしい。 『ヒロシさん……』 『もう君を離さないよ。君は僕のモノだ!』 『ヒロシさんっッッ!!』 ……付けたタイミングが悪かった。 「「っ!?」」 突然液晶画面いっぱいに映るとある男女のキスシーン。 慌ててテレビを消した美琴であったが、それが余計に空気を重くした。 「「……、」」 あからさまな過剰反応は、「意識してます」と言っているも同然なのだ。 「あ、あのな御坂」 「な、何よ?」 「気にしなくていいから、さ」 「な、何のことかしら? 別に私は何も気にしてないんだけど?」 ツンとした態度をとる美琴。 仮にもしここで、 『そんなこと言われたって意識しちゃうに決まってるじゃない! だって私、当麻のことが大好きなんだからっ!』 ……とでも言えれば新たなカップルが誕生したのかもしれないが、残念ながら美琴がそんなに素直なわけもない。 「いや、気にしてないんならいいんだけどさ」 ツンとした美琴に、ちょっぴり残念そうな笑顔を向ける上条。 (意識してたのは俺だけだったのかな……) そんなわけはない。ないのだが。 鈍感な上条と素直になれない美琴は、互いの気持ちを読み取ることがなかなか出来ない。 そのまま気が付けば40分経っていた。 オーブンがアラームを鳴らして焼き上がりを告げる。 「あ、焼けた」 キッチンへと戻り、オーブンを開ける美琴。 開ける前からいい匂いが漂っていたが、焼き加減も完璧であった。 「わぁ! 美味しそうに出来たじゃない。ちょっとー、アンタもこっち来て見てみなさいよー」 しかし、上条からの返事はない。 不信に思ってベッドの方を見てみると、 「……、寝てる?」 そう、上条は頭をベッドの上に乗せて寝てしまっていた。 実は焼き上がる数分前から寝てしまっていたのだが、テンパっていた美琴は全く気付いていない 「もう、仕方ないわねー」 肌寒い季節だ。このままだと風邪をひいてしまうかもしれない。 「ほら。まぁ、アンタ今日はよく頑張ったものね。お疲れ様」 ベッドの上から毛布を引き抜き、上条へと掛けてやる。 そしてキッチンへ戻ると、冷蔵庫を開けた。 「……なるほどね。よし、決めた」 再びエプロンを身に付ける美琴。 上条がまだ寝ているのを確認してから、美琴は再びキッチンに立った。 上条が目を覚ますと、外は真っ暗になっていた。 「……あれ?」 掛けた覚えのない毛布を見て、すぐに美琴がいることを思い出す。 「やべ! 寝ちまったのか俺!?」 キョロキョロと辺りを見回すが、人の気配はない。どうやら美琴はもう帰ってしまったようだ。 「悪いことしたな……電話して謝るか」 時計を見れば20時を回っていた。3時間ほど眠ってしまっていたらしい。 キッチンへ行けば、冷蔵庫にメモ用紙が貼り付けてあった。 『パンプキンパイ、冷蔵庫の中で冷やしてます。白い箱のがそうだから、明日絶対忘れないように! 美琴』 冷蔵庫を開けてみれば、確かに白い箱が入っていた。箱の側面には、なめらかな筆記体で『pumpkin pie』と書いてある。 「筆記体書ける奴ってカッコイイよなぁ」 そんなことを呟きながら、冷蔵庫の扉を閉める。 その際、上条はメモの続きがあることに気付いた。 メモは告げる。 『P.S. 簡単なものだけど晩ご飯作っといたから食べて』 「晩ご飯?」 冷蔵庫を再び開けるが、それらしきものは見つからない。 どこにあるのかと周りを見回せば、調理台のところにラップフィルムが掛けられたそれが見つかった。 「これは……!」 それは、美琴お手製の肉じゃがだった。 まさに昨日、上条自身が肉じゃがを作るつもりで買っていた食材を、急遽晩ご飯を作ろうと思い立った美琴が使ったのだ。 まだ温かいことを考えると、美琴は先程作り終わって帰ったところに違いない。 再びレンジで温める必要もなく、上条はそれをそのままテーブルへと運んだ。 「いただきます」 その肉じゃがは昼のパスタ同様、上条が作るそれよりもずっと美味しかった。 何が違うってそりゃ美琴の愛が詰まってるから……というわけでなく、きっと上条にはわからない隠し味やポイントがあるに違いない。 もちろん、上条が感じ取っているかは別として、美琴の愛がたっぷり含まれているは本当だろう。 「美味しい……アイツ絶対いい嫁さんになるだろうなぁ」 そのアイツはお前の嫁になることを望んでいるんだよ、上条当麻。 ……というようなツッコミを入れてくれる人がいれば良かったのだが、そんな都合の良い展開はない。 しかし。 「勉強も見てもらって、こんな美味しいご飯も作ってもらえて、上条さんは本当に幸せ者ですな。御坂もビリビリさえしなきゃ可愛い女の子なんだもんなぁ」 食べ終わった上条は、そんなことを呟くいて頬を染める。 応援隊の作戦通り、恋する美琴の手料理は確かに上条の胃袋を掴んだのみならず、その鈍感な心をもちょっぴり動かせたようだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある10人のハロウィンパーティ
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それは、暗夜に浮かぶ1つの光。 「俺を包むこの『暗黒時空』。これは何人たりとも防ぐことは叶わぬもの(という設定)」 それは、闇夜に浮かぶ1本の光線。 「だが、足りぬ。この力だけでは虐げられている者達を救うにはまだ遠い(という設定)」 それは、暗闇に浮かぶ幾つもの光線。 「故に俺は欲した。『暗黒時空』に匹敵する力を!そして・・・遂に手に入れた!(という設定)」 それは、漆黒に浮かぶ何人もの光。 「さぁ、その目に焼き付けよ!!俺の、いや、俺達の『閃天動地(ライトニングブレイク)』を!!(という設定)」 どこかからリズムの良い音楽が流れてくる。それに伴ってブレイクダンス(自称)をする光を纏う人間達。 「さすが啄先輩!!自分、頑張ったかいがありました!!」 「何を言う刺界!!お前の力が無ければこの『閃天動地』は完成しなかったのだ。大いに誇るがいい」 「ありがとうございます!!」 「いい後輩ができたな、鴉よぉ。こりゃあ、彼を十二人委員会に加えてやってもいいんじゃないか?」 「拙者もその意見に賛成だ!師匠、拙者からもお願い申し上げます」 「うむ。俺は一向に構わんぞ。どうだ、刺界?我が十二人委員会の一員としてその力を振るってみないか?」 「自分のような若輩者に何という有難きお言葉。もし許されるなら、自分、精一杯努めさせて頂きます!!」 「そうか!!よし、皆の者!!新たな仲間が我が十二人委員会へ加入した!!さあ、宴だ!!今日は力の続く限り踊りまくるぞ」 「「「おおおおお!!!!」」」 「・・・・・・何ですか、あれ」 「・・・・・・えーと」 「・・・・・・適当に見て見ぬ振りをしていればいいってね」 最近救済委員に加入した安田もとい春咲は、眼前で繰り広げられている意味不明な踊りについて先輩に助言を求めたが、 その先輩達―花多狩と農条―も何やら口をごもらせていた。 「あの黒いコートの方がさっきから言ってる十二人委員会って何ですか?」 「・・・・・・うーんと」 「・・・・・・適当に聞き流していればいいってね。妄想世界の住人の言葉は現実世界の俺達には意味不明ってね」 黒いコートを羽織る男―啄鴉―は何を隠そう妄想に生きる男である。彼にとって妄想が全て、妄想世界の原理が彼の行動原理である。 「『閃天動地』って何のことですか?」 「・・・・・・えー、あー」 「・・・・・・どうやら刺界が持ってきた電飾を仕込んだスーツのことらしい。イルミネーションダンスって言うらしいってね」 「花多狩さん。さっきから唸ってばかりですよ」 「・・・ごめんなさい、安田さん。この光景・・・私の理解力を超えているみたい」 「・・・確かに」 さっきから深夜という時間帯にも関わらず色んな電飾を光らせて踊りみたいな動作をしている啄、仲場、ゲコ太マスク、刺界もとい界刺の4人。 一般人が見たらまず間違いなく変質者と誤解される彼等の容貌や動作は、れっきとしたダンスの1形式である。 事の発端は、以前のファーストコンタクトの際に姿を見せなかった啄が2日前に現れたことだ。 その折に、啄と界刺が意気投合してしまったのである。両者が同じ光学系能力者であったことも関係あるかもしれない。 そして今日、界刺は電飾が仕込まれたスーツを持ってきたのである。彼のコレクションらしいそれは、一見すると奇妙な服であった。 しかし、啄はそれをいたく気に入り、彼の言う所の『暗黒時空』に代わる新能力を見出すために救済委員活動をほったらかしにして今に至るのだ。 ちなみに春咲と同じくガスマスクに覆われた界刺も顔には見せないが(見えない)どこか満足そうな雰囲気を醸し出していた。 「今日の救済委員活動、安田さんのデビュー戦だったのにこれじゃあ無理そうだわ」 「確かに。こいつ等をほったらかしにしてたら後々俺達にもしわ寄せがあるかも」 「・・・というか意外でした。私、てっきり救済委員って単独活動とばかり」 「昔はね。まあ、今も単独でやる奴はいるけど・・・。ようは効率重視ってね」 「それもあるけど・・・やっぱり誰しも1人というのは不安なのよね。だから、こうやって連帯するのかも」 「・・・そうですか」 「思う存分暴れられなくて不満?」 「いえ!そんなことは」 花多狩の少し意地悪な質問を否定する春咲。不満なんかあるわけない。本音では・・・ホッとしているのだ。だって自分は・・・。 『ふ~ん、そっか。多分だけど・・・死ぬよ、君?』 「(!!な、何をホッとしているのよ、私!こんなことでホッとしていたら、何のためにここにいるのかわからなくなるじゃない!!)」 ふと界刺が言った言葉を思い出し、心の中で活を入れる春咲。風紀委員の仲間達を欺いてまで救済委員に入ったのはどうしてか。 それは、自分の力を証明するためである。自分が強いことを証明するためである。 決して弱さを認めるためでは無い。決して他人を頼るためでは無い。決して。 「はい、コレ。あなたのケータイ」 「へっ!?」 「ボーっとしないの。これは連絡用のケータイよ。自前のケータイだと色々不都合でしょ? 言っておくけど、毎月の使用分はちゃんと払ってもらうわよ?」 「は、はい」 「これは落としちゃダメだからね。風紀委員や警備員に拾われたら面倒だから。それと・・・そいつ等に仲間の情報を売るのは絶対にダメよ。無いとは思うけど」 「そうそう。アシが付くのは勘弁ってね」 「・・・わかりました」 花多狩の忠告を受け、春咲は再び思考に身を委ねる。何故なら自分は現役の風紀委員なのだから。 もちろん、売ったりなんかするつもりは無い。他ならぬ自分のために。 『だからさ、君の仲間へチクるのもやめとくよ』 「(私は・・・あの時どう思ったんだろう?支部の仲間に知られなくてホッとしたのかな?それとも・・・)」 そして思い出す。界刺のあの言葉を。 自分の仲間にバラすと言い、バラすのをやめたと言い、何故か自分と同じく救済委員に入った目の前の男が放った言葉を。 「(知られて・・・殴られて・・・説得されて・・・止めて欲しかったのかな?)」 continue!!
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるファミレスのバカップル とあるファミレス テーブルの上のグラスにはまだ半分ほど中身が残っている。が、上条も美琴も、もう一度ストローに口をつける勇気はない。 演技マジック、もしくは非日常マジックと言おうか、役柄を演じることによって普段の上条と美琴なら絶対にしない事をしてしまった。 我に返るとかなり恥ずかしく、穴があったら入りたい気分。 そして上条としては困ったことに、 (話題が無い……共通の話題となると、御坂妹とか第3次世界大戦、グレムリンの時とかの話し。こんなところできるかっ!つーか恋人同士の話題じゃねーだろ、困った) 対して美琴は (もうヤケよ、ヤケ。どーんと来い、つーの……あっ、黒子放ったままだった。黒子もひょっとしてナントカアイテムを使って、ああなった?) ヤケッパチな自己逃避、関係無くもないがこの場には関係ないことを考えていた。 (どーすんだよ?) 困って美琴を見る上条に (ふっ、早くなんか言いなさいよ) 自己逃避から開き直ってドーンと来いと構え上条を見る美琴。 内情を知らない店内の人々は見つめ合う二人、目で語り合える二人として見ている。 「すいません、このコーヒーもっと苦くなりませんか」 「そうですね、厨房で煮詰めて来ましょうか、少しお時間宜しいですか」 「できるだけ早くお願いします、砂糖を吐いて死にそうなんです」 「急須にお茶葉を目一杯詰め込んで淹れたお茶を頂けませんか、言い値で払いますんで」 「申し訳ありません、代金は要りません。サービスさせて頂きます」 「メニューに壁ありませんか?壁殴り代行に頼もうにも予約がいっぱいで追いつかないそうなんです」 「さすがに壁はメニューにございません、代わりに手打ちうどんの実演を急遽ご用意致しました、お試しになられては如何ですか」 「超甘いです」 店内のそこかしこでそんな会話がされていた。 漸く、上条が言葉を口に乗せる。 「美琴」 (また名前だけかよっ!) 「ナニ、当麻?」 (そういう私もナニってつけただけ……) 「これから、どーする?」 (……もっと気の利いたこと言えっ、つーのよ) 「当麻はどうしたいの?」 (ふん) (御坂に決めて貰おーと思ったのに!) 「どーすっかな、このまま美琴と一緒に居られるだけで幸せなんだ、俺は」 (くっ、そう来ますか……演技とわかってても、そんな事言われたら、まだドキッと来るわ) 「それじゃあさ……」 (うーん、でもこのまま間が持たないのもね、一旦外に出てぶらつくのも、いいかな?) 上手く話題が見つからなくても、腕を組んで歩けばそれらしく見える、と。 美琴は想像する。 腕を組み歩く二人。恥ずかしげに上条を見上げる美琴。その美琴に微笑みかける上条。そして優しく言葉を…… 頬が上気しそうになり、心臓の鼓動が早鐘を鳴らそうとする。 飽くまでも演技、演技だからこそ言葉を紡いで行けばその幻想は実現する、仮初めであっても手には入る。しかし、その言葉が中々出てきてくれない。 そんな美琴とは裏腹に、 (あっ、そーいや今日インデックス居ないんだったな、また小萌先生に呼ばれて……小萌先生の配慮だよな、奨学金が出た日ぐらい栄養あるもの食べなさいって……だが、ここは!) 「美琴、どーせだから此処で食べていかないか?」 「美琴も夕食まだなんだろ?俺が払うからさ」 (ア、アンタね!……って俺が払う?) 「ダメよ、私が払う」 (あーーーっ!私のバカっ、バカっ!つ、つい。それより、って提案すれば良かったのに……儚いのね幻想って) 「それこそ、ダメだ」 (心配すんな、今日の俺はファミレスの食事ぐらい、ふっインデックスの食費に較べたら屁でもねー!それより御坂に迷惑かけてんだ、これぐらいさせて下さい) 「私の方が(お金持ってるなんて言っちゃダメよね)余裕あるもの」 「カッコ良い俺で居させてくれよ」 素で微笑みかける上条。 (私の前に現れるアンタはいつもカッコ良いんじゃーーーっ!) 「あっ、カッコつけさせてくれよ、だったな(気障っぽくなっちまった)でもな美琴、払わせてくれないと上条さんが情けなさすぎます」 優しく語りかける上条。 想像したばかりの上条の姿に、 (あわわわわわわわわわわわわ) ぷしゅー、と湯気が噴きそうな美琴。 この幻想は消えてくれない。演技でなく上条は心より言ってくれいる。 「ダメ、か?」 「ダメじゃない」 店内では 「激辛麻婆豆腐お願いします」 「ゴーヤチャンプルー、ゴーヤ増量で」 「刺身定食、ワサビ山盛りで」 「超激辛カレーで」 やはり夕食時間なのか、そんなオーダーが入る声が聞こえてくる。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とあるファミレスのバカップル
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とある美琴の他寮生活<アウトドア>最終章 その日、上条当麻と御坂美琴は死んだ。 これまた仲良く手をつないで帰っているときに。 上条勢力をつぶすために出てきた猟犬部隊(ハウンドドッグ)により、暗殺された。 天草式、旧アニューゼ部隊、必要悪の教会(ネセサリウス)、神の右席などと猟犬部隊が戦争を起こした。 まさに、科学と魔術が引き起こす第3次世界大戦。 これにより、ヴェネツィアなどの主要都市が破壊され、 学園都市第1学区が丸々消滅した。 結果、上条勢力の中心人物、上条当麻と御坂美琴がアレイスター=クロウリーの手で暗殺された。 そして、 妹達(シスターズ)全体の処分、および学園都市をイギリス清教必要悪の教会(ネセサリウス)の支配下に置くことで和解、終焉を迎えた。
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「だから、聞こう。この中で、現在何らかの理由で体調を崩している者もしくはその傾向がある者はいないか!? 嘘を報告した所で無駄だ。何故なら・・・俺の『真意解釈』でお前達の心理状態は全て暴かれている!!」 会議室内が一気に静まり返る。『真意解釈』。椎倉が持つ精神感応系能力で、声や表情、視点、指紋等、極々微妙な変化を察知し、 その時相手が抱いていた感情、心理をほぼ正確に読み取れる能力。仲間である風紀委員には決して使わないと、椎倉自身が公言している能力。 その能力を、今風紀委員に対して使っていると椎倉は宣言したのだ。 「固地の疲労を見抜けなかったのは、風紀委員会を統括する役割を持つ俺の責任でもある。 自分の信念に拘る余り、仲間の状態を見抜けないようでは本末転倒だ!! だから、俺は決断した!!『真意解釈』の使用を!!だが、俺の口から言う前にお前達からの報告を受けたい。 固地のように、自身の体調の報告さえできないような仲間なら・・・俺は今後も『真意解釈』を使う!!どうだ!?」 椎倉の瞳には、断固とした決意の念が宿っていた。その気迫に、風紀委員達は呑まれる。だが、報告する者はすぐに現れない。 もし、体調が悪いと報告すれば固地のように風紀委員会から外される可能性があった。それは、休暇という名の戦力外通告。 仮に、休暇の後に戻って来たとしても周囲から心配されるのは目に見えている。そんな状態に、誰だって身を置きたく無い。 数十秒後、椎倉は溜息と共に言葉を吐く。 「そうか。ならば仕方が無い。俺の口から言う・・・」 「・・・はい」 「網枷・・・」 「双真・・・。やっぱり、あなた・・・」 手を挙げたのは、176支部の一員である網枷双真。 「す、すみません、リーダー。僕、ちょっと夏風邪を引いたかも・・・です」 「・・・も、もぅ!だったら、早く私に報告しなさいよ!!幾ら自分から発言しないからって、そういうのは駄目なんだからね!!」 「す、すみません・・・」 加賀美は思う。網枷が時折咳をしていたのは、やはり体調面が優れていなかったからだろう。 普段の仕事でも常に事務仕事にばかり就き、自分からは殆ど発言しない網枷の思考は、リーダーである加賀美でも読めなかった。 「・・・わ、私も、ちょっと喉が痛いです・・・」 「渚・・・。何で言わねぇんだよ!」 「・・・お、俺も一昨日の捜査中に脚を痛めちゃってます・・・」 「湖后腹・・・お前・・・」 「・・・目が痛いです。以前からずっと、債鬼の奴に事務仕事ばかり押し付けられていた疲れが・・・」 「・・・それは、致し方無いな。下克の奴も固地の無茶な要求が祟ってか、結構前から重度の肺炎を患っているからな。 俺も昨日と一昨日は調子を崩して休んでいたし・・・。最近は、特に暑いからな。予想以上に疲労も溜まっているのかもな」 「・・・椎倉先輩。押花の奴が傷心で・・・」 「・・・・・・ハァ」 「・・・そんでもって、176支部(ウチ)からは双真が・・・か。債鬼君が知ったら、『監督不行届だな』って怒られ・・・ないか。自分がそうなっちゃったし」 花盛支部からは渚が、159支部からは湖后腹が、178支部からは秋雪が、成瀬台支部からは押花(初瀬の申告)が、それぞれ体調の不良を訴えた。 (159支部の一厘も昨日の界刺との戦闘で体を痛めてはいたが、それは冒頭椎倉が説明した時に申告済みであった。愚痴とも言えるが) 閨秀、破輩、浮草、椎倉、加賀美が頭を抱える中、顧問である橙山が口を開く。 「まぁ、よかったっしょ。こういう場でも設けないと、皆言い難かっただろうし。これで、今後『真意解釈』は使用せずに済むっしょ?」 「・・・ですね。ちなみに、さっきは『真意解釈』は使っていなかったから、お前達の心理状態は知らないぞ?」 「えっ?ということは・・・」 「さっきのは嘘だ。『嘘も方便』というヤツだな、うん」 「えええええぇぇぇっっ!!?」 初瀬の声が会議室に響き渡る。つまり、椎倉はここに居る風紀委員の体調を見抜くために『真意解釈』を使ってはいなかったのだ。 「ど、どうしてそんな嘘を・・・?」 「葉原・・・。油断するなよ?これは、事と次第によっては『嘘から出た実』になる可能性だってあるんだぞ?」 葉原の疑問を待ってましたとばかりに、椎倉は淡々と説明を重ねて行く。 「確かに、先程の宣言にあった“今”の心理状態を見抜くために『真意解釈』を使ったというのは嘘だ。だが、今後はどうなるかはわからない。 大勢の命を預かる者として、自分の体調を偽るような仲間の存在を俺は許すつもりは無い。 もし、今後そういうケースを発見した場合は、その風紀委員はこの[対『ブラックウィザード』風紀委員会]から外すつもりだ。例外は無い。 例えば、また固地の奴がそういうことをすれば今度は休暇では無く除外だ。実力等関係無い。そんな人間は不必要だ」 「「「「「・・・!!!」」」」」 “風紀委員の『悪鬼』”と謳われる固地ですら、二度同じ真似をすれば切り捨てる。そう、椎倉は宣言しているのだ。 「だから、今後はそういう面においてはちゃんと報告してくれ。ローテーションの変更にも柔軟に対応する。 それは、何も俺にじゃ無くてもいい。各支部のリーダーに報告し、そのリーダーから俺に報告するという形でいい。 明後日からは・・・今まで178支部だけに認めていた支部単位の単独行動を解禁するからな。各リーダーの責任は、更に重くなるぞ?」 「椎倉先輩!?そ、それでいいんですか!?それを全支部に認めたら、本部で統制が取れなくなる恐れが・・・」 加賀美の質問にも、椎倉は動じない。そんなリスクは承知済みだ。覚悟の上だ。 「最低限の報告はして貰うさ。だが、今までは本部からの指示通りに全支部は動いていた。単独行動時の178支部以外はな。 捜査ルートの設定や変更等も、一々本部の許可が必要だった。だが、それでは即応性に欠ける。時間も掛かる。・・・そろそろ、現状の指針を変更する時ではあった。 現に、夏休みに入って俺達が掴んだ有力な手掛かりは、178支部を尾行していた『ブラックウィザード』の薬物中毒者2人だけだ。 だから、これからは各支部のリーダーの権限を増やすつもりだ。具体的には、現場に居るリーダーの判断を最大限に尊重する。 現場における作戦等も、リーダーが全て決めて構わない。一々本部の許可は取らなくていい。報告は後でして貰うがな。 もちろん、相談するのは構わない。リーダーの指示や要請に、即座に俺達本部に在住する者が応答する。 但し、本格的な単独行動をする支部は事前に俺か橙山先生へ連絡してくれ。これは、他の者への代行は認めない。必ず、該当するリーダーが俺か橙山先生に。いいな?」 「・・・了解しました」 「相変わらず決断する時は一気に来るな、撚鴃?」 「・・・わかった。何とか、固地が抜けた分を少しでも埋めてみるよ」 「風輪での騒動みたく、またやせ細らなければいいが・・・。あの時は酷かったモンな・・・私」 椎倉の決断に、各支部のリーダーである加賀美・冠・浮草・破輩は各々その重責を感じながら承諾する。 「さっき176支部の一部に認めた例の殺人鬼との応戦許可も、現場に居るであろう加賀美の判断に任せる。 神谷。一応戦闘自体は認めるが、それは加賀美が許可した場合だ。お前が言葉の抜け道を使うなら、俺も使わせて貰うぞ? 元々、お前達に認めたソレは単独行動を許可することを念頭に置いて判断したものだからな」 所謂、後出しジャンケンみたいなものである。先に認めておき、後で縛りを付ける。神谷としては自分から言い出したことなので、うまい反論が思い付かない。 「・・・チッ。・・・ようは、加賀美先輩の許可をブン取ればいいってことか・・・(チラッ)」 「ブルッ!?な、何恐い視線を送ってんのよ、稜!?」 「あぁ。加賀美先輩の震えている姿も、また愛おしい。ありがとうございます!!(グアッ)」 「そんな殺人鬼を、放って置く真似は許されない!!あの殿方のためにも、この私の手で終止符を打つ!!そうでしょ、リーダー!?(ガァッ)」 「私のようなエリートが、わざわざ叩き潰すと宣言したのです。まさか、加賀美先輩がそんな私の意気込みを無為にすることは・・・ないですよね・・・!?(グンッ)」 「・・・・・・倒す。・・・・・・倒す!・・・・・・倒す!!(ヌオッ)」 「く、来るな!!顔面ごと私に視線を送って来るな!!こ、恐いのよ、この問題児集団!!」 顔面ごと擦り寄ってくる176支部の問題児集団に、リーダーである加賀美は戦慄する。 「・・・あの纏まり具合を、普段から見せてくれたらいいのにねぇ」 「・・・だよな。あの人達って、個性豊か過ぎんだよなぁ・・・」 葉原と鳥羽という176支部メンバーにおける苦労人コンビが、自分達の仲間の行動に嘆息する。 「詳細については、この休みを利用して書類に纏めておく。休み明けに配るから、それに目を通してくれ。 それと・・・これは言っておこうか。お前達への発奮材料になるかもしれん」 「発奮材料?・・・何ですか?」 六花の声に、椎倉は最後の揺さ振りを掛ける。この場に居るかもしれない内通者へ向けて。“奴”が自分達を利用するなら、自分も“奴”を利用させて貰う。 神谷に指摘されずとも、自分とて“奴”の手でいいように転がされたことにはムカっ腹が立っていたのだから。 「もしこの場に居るのが俺では無く、界刺なら!この場に居る風紀委員の何人かが『シンボル』のメンバーなら!!この事件は、もうとっくに解決していただろう!!!」 「「「「「!!!」」」」」 表情から笑みが消える。コソコソ話も消える。雰囲気が・・・一変する。 「本当に惜しい。あの男がこの風紀委員会のメンバーなら、もっと効率的且つ迅速に事件を解決に導いていただろう。 あの男を含む『シンボル』のメンバーが全員風紀委員ならば、あの男達が俺達を引き連れて本気で動けば、『ブラックウィザード』を潰すことは造作も無いのだろう。 そもそも、『シンボル』の行動指針は俺達風紀委員と似通っている。そうだ、今からでもいいから奴等に協力を仰いでみるか?取引では無く懇願を。皆で頭を下げて。 あの男なら、それ相応の条件を付ければ動いてくれるかもしれない。どう思います、橙山先生?」 「な、何で私に話しを振るっしょ!?」 椎倉の急な振りに橙山が慌てる。そんな中、この場に居る風紀委員に胸に去来するのは・・・熱き思い。 それは、自分達が風紀委員であるという矜持から生まれた対抗心。『絶対に負けてたまるか!!』という思いが、自分の胸を熱く燃え滾らせる。 椎倉の言葉が本意で生まれたものでは無いのはわかっている。わかって尚、燃え滾る炎の拡大を抑えることができない。 「・・・そんなことをする必要はありません」 最初に呟いたのは・・・焔火。 「あの人に頭を下げる必要はありません!!これ以上私達の都合であの人に頼れば、私達が風紀委員である意味が無くなってしまいます!!」 「・・・俺も焔火と同じ意見だ」 次に言葉を発したのは・・・神谷。 「あんな“変人”のいいようにこき使われるのは勘弁だ。それに、俺達風紀委員があの男に劣る?そんなこと・・・絶対に認められるかよ・・・!!」 「あたしも、あの男に二度も頭を下げるのは嫌だぜ?あの“詐欺師”には借りがあるんだ。それを返さないまま屈してたまるかよ!!」 「その界刺という男・・・俺からしたら嫌いな部類に入る人間だな。固地1人でもキツイのに、そこにもう1人追加というのは勘弁してくれ」 「連中が困った時は手を貸すつもりではあるが・・・それ以外であの“変人”にドヤ顔されるのは私も気に入らないな。想像しただけで腹が立つ」 閨秀、浮草、破輩も続く。 「ぶっちゃけ、あの野郎は前から気に入らなかったんだ!!この際、あの男に俺達風紀委員の底力ってヤツを見せ付けてやろうぜ!!」 「相変わらず口うるさいですね、鉄枷は。でも・・・奇遇ですね。私もあなたと同じ気持ちですよ」 「言われてみれば、あの“詐欺師”って俺が嫌いなタイプだった・・・。すっかり、あの男に呑まれちゃってた・・・。これじゃあ、駄目だ!!気合を入れ直さないと!!」 「真面君・・・」 「・・・抵部さん。今度、その界刺さんって人に会わせて下さい」 「ど、どうしたの、かおりん?すっごくこわい顔しちゃって!?」 「(香織・・・。何か、嫌な予感がする。私も同行した方がいいかも)」 「鏡星先輩・・・」 「一色・・・。せーの」 「「“変人”死すべし!!!」」 「そうだ・・・。フフッ・・・。あ、あんな“変人”に負けっぱなしでいられるか・・・。絶対に目にものを見せてくれる・・・。ハハッ・・・」 「押花・・・。失恋ってのは、こうまで人を変えるのか?」 「(・・・色んな意味で効果テキメンだな。これで、休暇の中でも緊張の糸が途切れることは無いだろう。幾ら休暇と言っても、緊張まで完全に緩んで貰っては困るからな。 悪いな、界刺。こいつ等がお前にどんな迷惑を掛けようが、俺は知らないからな。神谷的解釈もアリだしよ。 その、なんだ・・・やっぱ、俺もお前にはムカついてるんだわ。後で骨くらいは拾ってやるから勘弁な)」 やはりと言うべきか、椎倉の発言を受けた各風紀委員の気勢は色んな意味でうなぎ登りだ。それだけ、あの男の存在が大きいと言うべきか。 「忠告しておくが、界刺に負けたくないからと言って無理した挙句に体調を崩した奴は即座に休ませるからな。いざという時は、『真意解釈』を用いて調べる。いいな? それと、さっき体調が崩れていると報告して貰った者は、すぐに病院へ行って来い。何なら、休暇の日数を延ばしてもいい。その場合は、できるだけ早くに申告してくれ! では、以上をもって緊急会議を閉会する。解散!!」 椎倉の終了宣言により、[対『ブラックウィザード』風紀委員会]に関わる緊急会議は幕を閉じた。 「幾凪。頼んでいたレポートはできたか?」 「はい!バッチリです!!」 「撚鴃も手段を選ばないな。まさか、あの緊急会議を開いた真意が『梳の嘘を見抜く能力を活かした嘘発見会議』だったとは、他の者には予測できないだろうな」 「そのために、わざわざ『真意解釈』を使った等と嘘を付いてまで皆の注目を俺に集めたんだ。固地の二の舞は何としてでも避けなければな」 ここは、成瀬台のある一室。そこに居るのは、椎倉・冠・幾凪の3名。ここで、椎倉は幾凪が作成したレポートに目を通していた。 「え~と・・・『鉄枷束縛 嘘は付いていないが、心情が表情に出過ぎ。ぶっちゃけてんのは、他人じゃ無くて自分(テメー)だろ。キャハッ!!』。 『加賀美雅 何か言いたげな表情を見せるが、結局は口に出せない。表情筋を見る限り苦労性が板に付いている。あんな立場になりたくない。ご愁傷様』。 『浮草宙雄 何かを隠しているような感じだが、それ程重要では無い模様。諦め癖が付いている感バリバリ!!隠していることもそれ関連かも!!お気の毒♪』。 『冠要 さすがは、私の冠先輩!!何時見ても美しいそのお顔。羨ましい限りです!!これで、風紀委員活動にもうちょっと真面目に取り組んでくれたらなぁ・・・』。 おい、幾凪。何だ、この恣意的解釈感溢れるレポートは?俺は嘘を付いていないかの確認と、お前から見た各人の印象をできるだけ客観的に書いてくれと言ったんだが?」 「えっ。何処かおかしかったですか?私自慢の状態発見レポート『表情透視 ライディテクター 』なんですけど? ハッ!もしかして、冠先輩の項目に不備が!?もっと、褒め称えるような文章構成にするべきだったのかな!?」 「・・・要」 「梳は、現実世界とペーパーの世界では性格が変わるんだよ。もしかしたら、ペーパーの世界の性格が地なのかもしれないな」 冠の後輩である幾凪梳は、レベル1の『筋肉透視』という能力を所有している。 皮膚一枚程度という非常に薄い程度の物しか透視できない能力で、それ単体では殆ど使い物にならないのだが、 幾凪は必死の努力の末に、相手の表情筋の動きから嘘を見抜く事が出来るようになった。その発展形が『表情透視』である。 このことを知っているのは花盛支部の面々と、冠と関係が深い椎倉だけである。 (椎倉自身は、以前の合同見分の折に冠から教えて貰った) 『実は、俺達風紀委員の中に嘘を付いている人間が居るかもしれないんだ』 椎倉は、下駄箱にて冠と幾凪にこう告げた。当初2人は戸惑ったものの、すぐ後に風紀委員の健康状態を調査するという名目を聞かされて納得したのだ。 「はぁ・・・。まぁ、いい。ありがとう、幾凪。もう帰っていいぞ」 「わかりました!それじゃあ、冠先輩・・・一緒に帰り・・・」 「すまないが、私は撚鴃と話がある。先に帰ってくれ」 「えぇ!?そ、そんな・・・。折角冠先輩と一緒に喫茶店とかでお話しようと思ってたのに・・・」 等と愚痴る幾凪を冠が宥め、結果帰宅させることに成功した。部屋に残るのは、椎倉と冠の2人だけ。 「撚鴃・・・。謝らなくていいぞ?お前が自分の信念を曲げてまで、私と梳に対して『真意解釈』を使用したのには相当な理由があるのだろう? 健康チェックとは比べ物にならない程重要な理由が・・・」 「要・・・。やっぱり気付いていたか」 「元カレの癖とかは梳が調べなくてもわかっている。それに、健康チェックだけが目的なら私は不必要だろ?梳1人を残せばよかった筈だ。 なのに、私も残した・・・つまり、お前は私に許して貰いたかったんだろ?私が可愛がる後輩に『真意解釈』を使うことを。違うか?」 「・・・そう、かもしれん。お前ならわかってくれると・・・心の何処かで思っていたのかもしれないな」 壁に寄り掛かり、目を閉じる椎倉。その隣に冠が寄り添う。 「・・・スパイが居るのか?私達風紀委員の中に」 「・・・それを確かめるための『真意解釈』であり、このレポートだ。本当なら、こんなことはしたくなかった。俺だって、自分の信念を貫き通したかった。 だが・・・そういうわけにもいかなくなった。おそらく・・・俺達風紀委員会に参加している者の中に『ブラックウィザード』の手先が居る。 大勢の命を預かる者として、何時までも自分の信念にばかり拘っていてはいられない。お前達に会い、改めて考え、そう判断した」 「・・・だから、それを調べる能力がある梳と私がスパイであるかないかを確認するために、信念を曲げてまで『真意解釈』を使用することを決断した。そうだな?」 「あぁ・・・」 椎倉の『真意解釈』は、相対する人間の心理状態を把握できる代わりに対象範囲が狭い。普通は1人だけ。把握できる範囲を狭めても精々2人までが限度であった。 対して、幾凪の『表情透視』は厳密に言えば超能力では無い。一種の特技だ。表情筋の動きにより、その時に抱いている人間の感情を大まかに知ることができる特技。 人間の表情筋はその人特有の癖はあるものの、歓喜・悲嘆・憤怒等の折に動かす顔の筋肉というのは決まっているものである。 例え、顔に出さないように表情筋を抑制したとしても、普通は反応の欠片くらいは露になってしまうものである。 そして、それを幾凪は見逃さない。一度対象における表情筋の動きや癖を覚えた後は、じっくり見る必要は無い。ポイントは把握済みだ。 故に、彼女は条件付ながら大人数に対しても『表情透視』を敢行することが可能なのだ。そんな彼女が欲する表情筋の動きや癖は、椎倉が用意した。 『「『ブラックウィザード』の捜査に関わっている風紀委員は今後、『シンボル』の行動を原則黙認する」、「時には『シンボル』の要請に協力する」、 そして・・・「『シンボル』のメンバーが、風紀委員やそれ以外の人間へ最悪命に関わるような危害を与えた、 もしくは何らかの原因で与えさせてしまったとしても、風紀委員は“数回”黙認する」。 以上“3条件”を、先程界刺と約束して来た』 『・・・あの男は、風紀委員や警備員の上層部が「軍隊蟻」と関わっていることを知っています』 『ちなみに、その中心人物の1人であった春咲桜は現在「シンボル」の一員です』 『現在進行中で、「ブラックウィザード」と単独で殺し合いを行っている・・・殺人鬼が居る。その男は・・・俺達を凌駕する力を持っている可能性がある!!』 『界刺に恋する少女達の逆鱗に触れたからだ』 『だから、当分の間は固地を[対『ブラックウィザード』風紀委員会]から外すことに決めた!!』 『だから、聞こう。この中で、現在何らかの理由で体調を崩している者もしくはその傾向がある者はいないか!? 嘘を報告した所で無駄だ。何故なら・・・俺の「真意解釈」でお前達の心理状態は全て暴かれている!!』 『もしこの場に居るのが俺では無く、界刺なら!この場に居る風紀委員の何人かが「シンボル」のメンバーなら!!この事件は、もうとっくに解決していただろう!!!』 他にも色々あるが、総じて言えるのはあの場に居る者の喜怒哀楽に係る表情を引き出すために、必要以上に強調したor衝撃的事実である言葉を放ち続けたということだ。 それを、秘かに幾凪が観察していた。彼女の挙動を悟らせないように、わざわざ『真意解釈』を用いたという嘘も付いた。 自分の『真意解釈』は、内通者にも知られている。それに対する対策をしていてもおかしくは無い。 唯でさえ、『真意解釈』は面と向かっていなければ効果を満足に発揮できない。下手をすれば、こちらの意図が読まれる可能性だってある。 今はまだ、『内通者の存在に気付いているのは固地債鬼唯1人』ということにしておかなければならない。 気付いていないフリをしながら泳がしておかなければいけないというのも、非常にネックである。故に、それを考慮した罠を仕掛けた。 健康チェックを盾にした数多の衝撃的発言には、さしもの内通者も動揺を隠せない筈。それは、他の風紀委員以上に激しい筈。 体調悪化がバレるのと、スパイ活動がバレるのとでは動揺の差は歴然である。 「いや・・・いいよ。撚鴃自身が一番辛いんだろ?むしろ、自分の信念を曲げなければならない苦しみを共に抱くことができなかった私こそ・・・済まない」 「要・・・」 「私は、お前が『真意解釈』を使うとわかった瞬間すごく心が痛んだ。きっと、撚鴃はすごく苦しんだ筈だってことがわかったから。 なぁ・・・。私は、お前と別れてからお前以上の男に会ったことは無いぞ?だから、お前のことなら私が一番よく知っている。 お前のことを誰よりも思っている。そう、自負している。だから・・・悔しいよ。肝心な時にお前の苦しみを共に背負えないのは・・・」 冠の頭が椎倉の肩に乗る。椎倉からは冠の表情は見えない。見えないが、今この時に冠が抱いている気持ち等、『真意解釈』を用いずとも椎倉には手に取るようにわかった。 「要・・・。ありがとう。本当に、ありがとう」 「撚鴃・・・。前に言ったが、もう一度付き合わないか?」 「・・・・・・コーヒーがなぁ・・・」 「・・・我慢する」 「なっ!?」 椎倉は驚愕する。冠の口から、『(コーヒーを)我慢する』という言葉を聞ける日が来るとは思わなかった。 「・・・その、なんだ。お、お前がコーヒー嫌いだったということは知っている。 そ、それなのに、お前に嫌な物を押し付けてしまったのを・・・それが別れる原因になっていたのを・・・これでも私は反省しているんだ。 で、できるだけ・・・が、我慢する・・・。時には我慢できないこともあるかもだが・・・その・・・あの・・・」 「・・・フッ。フフッ・・・」 「な、何がおかしいんだ、撚鴃!?」 椎倉の口から零れた笑い声に、冠は顔を赤くしながら憤慨する。 「要の口から、そんな言葉を聞ける日が来るとは思わなかった。フフッ・・・」 「な、何か失礼なことを言っていないか?」 「でも・・・嬉しいよ、要。お前が、そこまで俺のことを考えてくれているなんて思ってなかったから」 「・・・鈍感な奴め」 「そうだな・・・。今関わっている事件が解決したら・・・その時は考えてやってもいい」 「・・・すごい嫌なフラグを感じるのだが」 「大丈夫さ。そんなフラグ、お前なら全て溶かし切ってしまうだろ?」 「・・・ククッ、それもそうだ。なら、話は簡単だ。さっさと、この事件を解決すればいい。お前の指示と私の力で」 「あぁ。そうだな。・・・そうだとも!!」 そう言った後に、冠に緊急会議で出さなかった『ブラックウィザード』に関する情報を伝え、別れた。 椎倉は『表情透視』を読み込んで行く内に、記載されているある項目に目を付ける。そして、彼はすぐさま部屋を飛び出したのであった。 continue…?